新製品発売:Quick-Neuron™ Plate – MEA 48 届いてすぐに試験可能な「ヒト神経薬効・毒性評価プレート」
株式会社リコーが出資するエリクサジェン・サイエンティフィック(米国メリーランド州ボルチモア)は、リコーと共同開発した神経疾患の薬剤評価に使えるヒト神経薬効・毒性評価プレート「Quick-Neuron™ Plate - MEA 48」を、製薬企業や研究機関向けに本日から日本国内で発売します。
このヒト神経薬効・毒性評価プレートは、多点電極の内蔵されたプレート上に、エリクサジェン・サイエンティフィックの分化誘導技術「Quick-Tissue™ 技術」により作製したiPS細胞由来のヒト神経細胞を播種*1・成熟し、リコーがバイオ3Dプリンターで培った細胞接着コーティング技術で電極への接着性を向上させたものです。これにより、ユーザーは細胞の培養などを行うことなく、本製品を受取後すぐに薬剤応答評価に使用することができます。新薬開発における候補薬の効果や毒性の確認を素早く行うことができるため、開発期間の短縮とコスト低減に貢献します。
【製品情報】
製品名 | Quick-Neuron™ Plate - MEA 48 |
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説明 | ヒトiPS細胞由来神経細胞とヒトアストロサイト*2をMEAプレート上で共培養済みの「ヒト神経薬効・毒性評価プレート」 |
型番 | EXPA-MEA-M48 |
主な仕様 |
・細胞:ヒトiPS細胞由来 興奮性神経細胞*3、ヒトアストロサイト※ ・MEAプレート:Axion BioSystems社 CytoView MEA48 ・所定期間培養による神経成熟化済み ・80%以上のウェルで5Hz以上の神経発火*4< |
希望販売価格 (税込) |
660,000円/プレート |
※ヒトアストロサイトについてはお客様からのご提供をお願いしております。 ※本製品は研究用試薬です。
【詳細情報】
新薬開発において、候補薬に対し可能な限り予見性の高い評価を開発初期段階で行うことが重要であり、不死化細胞や動物細胞よりも高い予見性が期待されるヒトiPS細胞由来細胞の活用が進んでいます。特に、MEAプレート上でヒトiPS細胞由来神経細胞の神経活動変化を評価することは、神経毒性あるいは神経疾患の薬効を評価する上で重要なツールとなってきております。
エリクサジェン・サイエンティフィックは、ヒトiPS細胞から神経細胞を含むさまざまな細胞へ高速に分化する技術「Quick-Tissue™技術」の開発および商品化を行ってきました。Quick-Tissue™技術を用いて製造した興奮性神経細胞(Quick-Neuron™ Excitatory Neurons)は、様々な薬剤に対して実際の神経細胞に近い応答を示すことが分かってきており(図1)、創薬への応用が期待されます。
しかし、このような評価を行うためには、MEAプレート上でiPS細胞由来神経細胞を通常1~2ヶ月近く培養することが必要であり、培養中の神経活動にウェル間ばらつきが発生することが課題でした。エリクサジェン・サイエンティフィックとリコーは共同でこの問題に取り組み、細胞接着性や培養条件の改善等により、ウェル間ばらつきの少ない製造工程を開発することに成功しました(図2)。本技術を用いて製造した、神経細胞を成熟化済みのヒト神経薬効・毒性評価プレート「Quick-Neuron™ Plate - MEA 48」を利用することにより、直ちに薬剤応答評価を開始することが可能になります。
図1 ヒトiPS細胞由来興奮性神経(Quick-Neuron™ Excitatory Neurons)の各種薬剤に対する発火頻度の変化。各種レセプターのアゴニスト、アンタゴニスト、およびイオンチャネル阻害剤に対して想定通りの応答が得られた。(データ提供:株式会社リコー)
図2 MEA上に播種した神経細胞・アストロサイトの6週間培養後の発火頻度(A)およびネットワークバースト頻度(B)のウェル間ばらつき。一般的な手技での製造結果(オレンジ)に対して、開発技術を用いて12枚のプレートを製造した結果(グリーン)ではスパイク数およびネットワークバースト数のばらつきが抑えられている。(データ提供:株式会社リコー)
*1 播種 細胞を播くこと
*2 ヒトアストロサイト 神経細胞に栄養を与えたり、過剰なイオンや神経伝達物質を速やかに除去したりすることにより、神経細胞の生存と働きを助ける細胞
*3 ヒトiPS細胞由来興奮性神経細胞 エリクサジェン・サイエンティフィックが提供する他の神経細胞を刺激し興奮させる働きを持つ細胞 Quick-Neuron™ Excitatory /ipsc-derived-excitatory-neurons/
*4 神経発火 情報伝達の際に神経細胞に活動電位が生じること
*このニュースリリースに記載されている社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。
【製品ページ】https://jpnx.elixirgensci.com/ipsc-derived-cells/mea/
【関連情報】
- Application note : “Genetic and Functional Profiling of hiPSC-derived Excitatory Neuron Differentiated by Quick-Neuron Technology”
- /wp-content/uploads/pdf/protocol/EX-SeV-CW_App_Note.pdf
- News release : "神経の薬剤応答が測定可能なヒト神経薬効・毒性評価プレートを提供開始"
- https://jp.ricoh.com/release/2020/1203_1/
- Quick-Neuron™ Plate - MEA 48 チラシはコチラ
【ウェビナー情報】本製品と関連して以下のウェビナーを開催いたします。
- 第一回 エリクサジェン・サイエンティフィック ウェビナー「ヒトiPS細胞由来神経細胞を用いた機能性評価の最前線」
- 日時:2021年5月19日(水) 14:00~15:00 参加お申込み: 下記リンク先よりお申込みください
- https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_PZT4d9RUT7uescVVwLnuqw
【お問い合わせ先】
エリクサジェン・サイエンティフィック 日本支店
Tel:050-5375-0509(平日9時~17時)
E-mail:jp.elixirgensci.com